この用語解説は、本文の説明のために付しました。
一部、加筆したところはありますが、内容はほとんど『表具−和の文化的遺伝子』からの抜粋です。
表具関連の符丁、用語はここに紹介したものの他に、まだまだ多くあります。
もう少し詳しくお知りになりたい方、また表具にご興味のある方は、
『表具−和の文化的遺伝子』をファックスかお電話にて、当社へお申し込み下さい。メールでも結構です。
本書は、まだ多少の在庫がございます。

ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行ワ行

  用語 読み 解説
ハ行 パー パー 蕨糊(ワラビノリ)を多用して織った、主に天地裂として用いる平織物。業界では、糸偏に羽という字を当てる。塩瀬のような織り方で主として無地物であるが、なかに極めて淡く地文を織り出したものもある。
箱書 ハコガキ 箱に収められている書画や器物の証明として、主に作者〈→共箱〉、あるいは作者の私淑者が箱の蓋に内容を書き記すもの。通常、蓋の表には画題など題号を記す。また、裏には署名押印がなされることが普通であるが、制作年・季節・為書なども記された落款に近いものもある。今日では、作者本人によるもの(共箱)が普通で、このとき箱蓋の表(甲)へタイトル、箱蓋の裏へ落款を為すことが一般的。なお、これはかつての公卿や大名の作法であり、茶方では蓋裏のみに為されることが普通である。
箱椽 ハコブチ クラシックイメージを表現する代表的な和椽。その仕様は多くが面金を伴った、無地あるいはダイアパー柄など小紋の金襴や緞子を貼ったマットに金泥で加飾した内枠をつけ、さらにその外側を黒漆塗枠にしたり、桜材などを主に黒系か焦茶系に着色した木地枠をつけたもの。なお、この外枠を狭義的に箱椽(外箱)とも呼ぶ。箱椽は外箱椽とも呼ばれるように、戦後フランスから泰西名画展用に借用した額付絵画へ、保護目的でつけた外箱(木製ケース)から発展したものである。したがって、箱椽は日本のオリジナルデザインといえる。箱椽が流行した当初は、デコラティヴな金箔押仕上の油彩画額に外枠としてデザインされたが、日本画のクラシックな表現にも見合うことから今日ではむしろ日本画額で多用されている。ところで、イタリアで箱型額椽(カセッタ)と呼ばれる箱型形状の枠は西洋にもあるが、これは二重構造になっておらず、1本の材を刳りだして表現されるものである。また、これには外箱部に繰形模様が施される点でも異なる。
八双 ハッソウ 一般に木材を使用した、収納・装飾・鑑賞・補強という目的を兼ねて、掛物上部に取り付ける巻仕舞いの部位の名称。巻き収めたときに表に見えるところから表木(ヒョウモク)といい、古字を当て裱木とも書く。また、古くは「掛木」とも、下部の軸木に対し「表軸」とも呼んだが、今日ではほとんどの人が八双と呼び慣わしている。「裱紙竹(ヒョウシダケ)」と呼ぶ人もあるが、これは厳密には巻物の八双部分を指す。一般に木口断面が半月形のものを多用することから「半月」とも呼び、平らなほうを「巻板」あるいは「平」といい表紙側へ向け、曲線部分を「山」といい裏側へ向ける。そして、この山に鐶・座金を取り付ける。なお、八双とは、そもそも表木部両端に付ける木口の錺(カザリ)金具を指した。これは、この錺金具の形が八双金物に似るところからの命名であり、それが次第に表木自体の呼び名となる。したがって、八宗とも書くが、意味上での正しい表記は八双といえる。ただ、小学館の『日本国語大辞典』には「特に表装の場合であることを示すために発装とも書く」とあるように、「発装」と表記することはある。
ハナダ 藍染による色目の一つの呼称で、浅葱と紺の中間ぐらいの色。なお、平安時代には「はな」と略したり、「花田」の字を当てた。
パネル パネル 主に、ベニヤ板の周辺部へ角材を貼り付け角盆形にして用いるもの。これを特に「片面パネル」というが、これに対し、両面へベニヤ板を張り角材を挟み込んで中空構造にしたものを「太鼓張り(パネル)」、あるいは「フラッシュパネル」と呼ぶ。パネルには、「建築材料として寸法をそろえて生産されるベニヤ板」という意もあるが、表具・額縁業界では、作品を表現するためのハードな支持体、あるいは作品を額装するためのハードな作品台を指す。これが発展して、額椽のことをパネル(panel)と呼ぶこともある。
貼交屏風 ハリマゼビョウブ 色紙、短冊、扇面形、斗形(桝形=正方形)、円形、州浜形、長方形、団扇形などの多様な形状の小作品を、地貼を施した屏風地に押したもの。「貼り混ぜ」、「張交」、「張り混ぜ」などと書くが、読みはすべて「ハリマゼ」である。なお、同様に1扇へ1枚ずつ絵画を押したものは、一般に押画張(オシエバリ)という。
半切 ハンセツ 画仙紙を短手で細長く半分に切った呼び名。一般に4尺5寸×1尺1寸5分(約136cm×約70cm)。
表具 ヒョウグ 掛物・襖・屏風・和額・衝立・貼付壁などの調製・加工・施工を指し、これに障子張を含めた仕事をいう。また、表具という語は“表具する”というように動詞的に使うことがある。この場合、「(ある)表具形式のものにつくりあげる」という他に、「掛物に仕立てる」、あるいは単に「裏打をする」といった狭い意味で用いることもある。なお、厳密には、巻子本(巻物)・綴本・折本などの和本の仕立や、料紙・色紙・短冊などの支持体づくりは経師(キョウジ)の仕事として表具の範疇とはされない。
表具紙 ヒョウグガミ 表具地として用いる紙。→表具地
表具地 ヒョウグジ 表具で、装飾にかかわる部材のこと。これに対し、裏打紙や下貼紙など、仕上がり後に見えなくなってしまうものは「表具材(料)」という。
表装 ヒョウソウ 「表具」とほぼ同義であるが、東京表具経師文化協会は、「表装」とは「紙・布・糊を使用して、作り上げてゆくハリ作業の行為」とし、表具と壁装の併称である、と定義づけている。したがって、表具とは上記の定義より壁装を除いたものと捉えることができ、今日では表具のほうが語義的に狭いものと考えることができる。
表装紙 ヒョウソウシ 表具材(料)として用いる紙。下貼用紙や裏打紙など。
平留 ヒラドメ 見付の等しい部材を、45°で直交させること。あるいは、その出合い形状。単に「留」とも、また「出合(デアイ)」とも呼ぶ。なお、留とはこれ以上行かない、留(止)まるという意。
風帯 フウタイ 装飾が目的の、竪に長い帯を凧の足状に掛物上部へ2本絎け留めたもの。この凧足の両先端にはやはり「露(ツユ)」と呼ぶ装飾が目的のフサを縫い付ける。こうした通常の風帯を「垂風帯(サゲフウタイ)」と呼び、他に天地を筋で割って風帯を表現する「筋割風帯(スジワリフウタイ)、および筋風帯」、天地へ別の表具地を貼って風帯を表した「押風帯(オシフウタイ)」の2種の略式風帯がある。なお、様式の違いにより、風帯を付けるもの、付けないものがある。
平留 ヒラドメ 見付の等しい部材を、45°で直交させること。あるいは、その出合い形状。単に「留」とも、また「出合(デアイ)」とも呼ぶ。なお、留とはこれ以上行かない、留(止)まるという意。
フカミ フカミ 下地などの対象物を椽枠内に収める目的で椽枠のカカリの下を削りだした部位。カカリ下ともいう。→カカリ
フチ 主として木材による、表具品の最も外側を取り巻く表具地。なお、縁という漢字には「へり」と「ふち」という読みがあり、混同をおそれ、ここでは「ふち」を意図するときには「椽」の字を当てている。この「椽」には本来、ふちという読み方・意味はないが、ただ江戸時代から明治にかけ専門家の間でしばしばこのように使用された例があり、これは糸偏と木偏の意を利用して意図的に使い分けたものである。
仏表具 ブツヒョウグ 真の仕立
太巻芯 フトマキシン 桐材でつくった太い棒状のもので、蝶番によって木端側で開閉できる仕組みになっているもの。これを本来の軸木に噛ませて巻き納めることが太巻芯の役割であり、つまり収納時だけ太く巻けるように工夫をした仕掛け。たとえば絵具の盛り上がった絵画本紙、あるいは古物で、細く巻くと折れによる損傷が危倶されるときに使用する。「太巻棒」ともいう。また、単に「太巻」とも「太巻添棒(太巻添軸)」とも呼ぶことがある。 
古美 フルビ 金物の伝統的加飾法の一。多くは銀素材をベースにして、黒く錆びた感じの時代色を表す技法。なお、フルビはフルミが訛ったものと考えられており、古いものには味があるとして古味と表記し、さらに古味を帯びたものを賞翫する日本人独特の気風から「古美」と字を当てたもの。
風炉先屏風 フロサキビョウブ 風炉先と略称することもある、茶座敷で用いる二曲の屏風。 
文人仕立 ブンジンシタテ 掛物の二大様式の一。その名の通り、特に文人画に多く用いるところからの命名で、「文人表具」とも呼ばれる。また、文人画のみならず中国的な本紙の軸装にも用いることから、「唐仕立(カラシタテ)」ともいう。江戸時代、新たに中国から伝承された様式で、宋朝表具とは形を異にするもの。なお、今日の文人仕立では風帯を用いない。
ベタ貼 ベタバリ 紙へべったりと全面に隙間なく糊付けして、対象物へ貼ること。なお、ベタとは本来は「総」の意であり「すべて」、「おしなべて」、「全体の」などの意味を持つ。
別珍 ベッチン 綿ビロードのこと。表具で別珍を使用する例はあまりなく、主に洋額装でクラシックイメージを求めるときに用いることが多い。
墨跡 ボクセキ 現在では宗教者(特に仏教関係者)による宗教的内容の書跡を総称する言葉として用いられているが、本来は禅林関係者(特に禅宗の高僧)の書跡を指すもの。墨蹟とも書くが、「蹟」は現在「跡」に統一標記されている。 
ポプリン ポプリン 目の詰んだ、やや緯畝のある平織物。生地は綿が多いが、毛、絹、化繊でもつくられている。 和額装ではあまり用いないが、洋額装で多用するのは、その価格性から化繊のものが多い。
本間 ホンケン モジュールの一で、一般に6尺の長さをいうが、本来は地方によって異なる。というのも、本式の畳の大きさを本間(ホンマ)というが、本間(ホンケン)はこれより生まれた言葉で、畳の大きさが地方によって異なるからである。表具では2間あるいは1間といった間寸法に等しくなることも意味する。したがって、本間屏風は地方によって大きさが異なる。「ホンゲン」とも発音する。
本紙 ホンシ 一般に書画等が紙などの支持体の上へ2次元的に表現された作品(アートピース)をいう。なお、本紙は裏打紙の対語であり、逆に本紙とは裏打ちされるものと定義づけることができる。
本椽 ホンブチ 主に木材を竿状に削りだし、これらを組み上げた後、塗装などの加飾を施して作り上げる額縁。仮椽に対し、油彩額と同義で用いることもある。なお、モールディングに対し、「組椽」と呼ぶこともある。

ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行ワ行

このページを閉じる