2019.12.03
清華堂のふるまい学
暮らしの中にアートを飾ること  【日本額装の歴史編】

日本額装のこと。通称、和額と呼んでいます。

和額の大きな歴史観は、
建築物の外部に掛ける篆額→室内に掛ける文化の輸入
→黄檗宗伝来による欄間額の発達→洋額との融合を経て1960年代に定着
という流れがあります。

特に洋額との区別として、
「紙貼りあるいは縁取した下地へ裏打ちした本紙を張り付け、これに枠をつけた額」
のことを一般的にさしますが、境界が難しいため、本紙内容によって呼び分けるケースもあります。

独自の様式として欄間額(≒扁額)、雲版(≒丸額/角額)、硯屏などが形のルーツとしてあります。

外部に掛ける篆額の最古のものは八世紀、東大寺の西大門に掲げられた「金光明四天王護国之寺」(写真参照)
額縁というより表札。つまり情報を示すものでした。※扁額の「扁」の字も戸と冊からなり、表札の意を持ちます。
そこに16世紀のキリスト教が普及し、祭壇画が室内に掛けられる文化が入ってきます。
さらに黄檗宗が伝来する頃に文人趣味が隆盛し、南画や書のための額として、装飾性が確立していきます。
伝統的な表装の技術によって作られた紙額が和額の骨格を形成していきます。
明治以降、洋額の輸入によって、日本独自の額装が認知され、
そして戦後に和額と洋額の折衷された日本画額の考案など、そのスタイルが定着化に至りました。

洋額、和額の変遷を大まかにお伝えしてきました。ここで、現代の暮らしに目を向けましょう。
掛け軸は床の間減少の影響から、その表現の舞台を失いつつあります。
では額縁は?
美術と額縁の一体となった鑑賞の仕方とはまた違った、現代アートを皮切りに次回はお話を進めたいと思います。
ではまた!