2018.02.27
清華堂のしきたり学
用語解説(な~わ)

この用語解説は、本文の説明のために付しました。
一部、加筆したところはありますが、内容はほとんど『表具-和の文化的遺伝子』からの抜粋です。 表具関連の符丁、用語はここに紹介したものの他に、まだまだ多くあります。 

中縁 ナカベリ、チュウベリ
①中廻しの別称。②額装における本紙を取り巻く部位の名称。紙、あるいは裂地を用いることが普通。


中廻し ナカマワシ
→チュウマワシ


魚子 ナナコ
表具用無地裂地の名称の一。この名称はその地肌が、魚子という彫金技法による加飾と似ていることに由来するの。等級として、高価なものから織魚子・節魚子・筋魚子(染魚子)がある。なお、小紋を織り出した利久魚子と呼ぶものもある。ところで、魚子とは本来、屏風の角金具や引手など、錺金具の地彫として施す粟粒状の模様を指す。これは魚の卵に似ていることから付けた名称で、魚魚子(魚々子)・斜子・七七子(七々子)とも書くが、意味合いからは魚魚子あるいは魚子が適切である。しかし、「ななこ」とはもともと魚の子が訛ったことから、表記は魚魚子よりも魚子が適している。


二重折れ釘 ニジュウオレクギ
折釘の先がもう一度手前に曲がっている、鉄製の黒い掛物用金物釘。その形状が雷文に似るところから「雷文釘」ともいい、雷を言い換え「稲妻折釘」ともいう。


二重箱 ニジュウバコ
表具品などの保存性を高めるため、保管箱を内箱と外箱の二重仕様にしたもの。あるいは、この外箱を特に二重箱と呼ぶこともある。いずれも主に、木材でつくられるが、このとき内箱には素木の桐材を用いることが普通。これは樹脂分が少なく、多孔質で吸放湿性に優れた桐のよさを存分に活かすためである。外箱には塵埃などが付きにくくするため、春慶塗や溜塗、あるいは拭漆を施すことが普通であり、素木地のままでは使用しない。なお、充分に吟味されて製された桐の印籠箱と漆塗の外箱の組合せが、保存箱として最も恒温恒湿、すなわち温度・湿度の変化を非常に緩やかに保つ機能を持っているとされる。


日本画額 ニホンガガク
第二次世界大戦後に始まる、洋額の影響を受けて生まれた額の形式。この額形式は次第に日本画だけでなく書や、その他刺繍などの工芸作品の額装にも用いられるようになった。日本画額は欄間額と洋額の折衷様式とも呼べるものであるが、構成は一般に枠・中縁・透明ダストカバー・裏板(バックボード)である。そして、この中縁に裂を貼り、作品小口側には面金などライナーを付けることが普通である。


パー パー
蕨糊(ワラビノリ)を多用して織った、主に天地裂として用いる平織物。業界では、糸偏に羽という字を当てる。塩瀬のような織り方で主として無地物であるが、なかに極めて淡く地文を織り出したものもある。


箱書 ハコガキ
箱に収められている書画や器物の証明として、主に作者〈→共箱〉、あるいは作者の私淑者が箱の蓋に内容を書き記すもの。通常、蓋の表には画題など題号などを記す。また、裏には署名押印がなされることが普通であるが、制作年・季節・為書なども記された落款に近いものもある。今日では、作者本人によるもの(共箱)が普通で、このとき箱蓋の表(甲)へタイトル、箱蓋の裏へ落款を為すことが一般的。なお、これはかつての公卿や大名の作法であり、茶方では蓋裏のみに為されることが普通である。


箱椽 ハコブチ
クラシックイメージを表現する代表的な和椽。その仕様は多くが面金を伴った、無地あるいはダイアパー柄など小紋の金襴や緞子を貼ったマットに金泥で加飾した内枠をつけ、さらにその外側を黒漆塗枠にしたり、桜材などを主に黒系か焦茶系に着色した木地枠をつけたもの。なお、この外枠を狭義的に箱椽(外箱)とも呼ぶ。箱椽は外箱椽とも呼ばれるように、戦後フランスから泰西名画展用に借用した額付絵画へ、保護目的でつけた外箱(木製ケース)から発展したものである。したがって、箱椽は日本のオリジナルデザインといえる。箱椽が流行した当初は、デコラティヴな金箔押仕上の油彩画額に外枠としてデザインされたが、日本画のクラシックな表現にも見合うことから今日ではむしろ日本画額で多用されている。ところで、イタリアで箱型額椽(カセッタ)と呼ばれる箱型形状の枠は西洋にもあるが、これは二重構造になっておらず、1本の材を刳りだして表現されるものである。また、これには外箱部に繰形模様が施される点でも異なる。


八双 ハッソウ
一般に木材を使用した、収納・装飾・鑑賞・補強という目的を兼ねて、掛物上部に取り付ける巻仕舞いの部位の名称。巻き収めたときに表に見えるところから表木(ヒョウモク)といい、古字を当て裱木とも書く。また、古くは「掛木」とも、下部の軸木に対し「表軸」とも呼んだが、今日ではほとんどの人が八双と呼び慣わしている。「裱紙竹(ヒョウシダケ)」と呼ぶ人もあるが、これは厳密には巻物の八双部分を指す。一般に木口断面が半月形のものを多用することから「半月」とも呼び、平らなほうを「巻板」あるいは「平」といい表紙側へ向け、曲線部分を「山」といい裏側へ向ける。そして、この山に鐶・座金を取り付ける。なお、八双とは、そもそも表木部両端に付ける木口の錺(カザリ)金具を指した。これは、この錺金具の形が八双金物に似るところからの命名であり、それが次第に表木自体の呼び名とる。したがって、八宗とも書くが、意味上での正しい表記は八双といえる。ただ、小学館の『日本国語大辞典』には「特に表装の場合であることを示すために発装とも書く」とあるように、「発装」と表記することはある。


縹 ハナダ
藍染による色目の一つの呼称で、浅葱と紺の中間ぐらいの色。なお、平安時代には「はな」と略したり、花田の字を当てた。


パネル パネル
主に、ベニヤ板の周辺部へ角材を貼り付け角盆形にして用いるもの。これを特に「片面パネル」というが、これに対し、両面へベニヤ板を張り角材を挟み込んで中空構造にしたものを「太鼓張り(パネル)」、あるいは「フラッシュパネル」と呼ぶ。パネルには、「建築材料として寸法をそろえて生産されるベニヤ板」という意もあるが、表具・額縁業界では、作品を表現するためのハードな支持体、あるいは作品を額装するためのハードな作品台を指す。これが発展して、額椽のことをパネル(panel)と呼ぶこともある。


貼交屏風 ハリマゼビョウブ
色紙、短冊、扇面形、斗形(桝形=正方形)、円形、州浜形、長方形、団扇形などの多様な形状の小作品を、地貼を施した屏風地に押したもの。「貼り混ぜ」、「張交」、「張り混ぜ」などと書くが、読みはすべて「ハリマゼ」である。なお、同様に1扇へ1枚ずつ絵画を押したものを一般に押画張(オシエバリ)という。


半切 ハンセツ
画仙紙を短手で細長く半分に切った呼び名。一般に4尺5寸×1尺1寸5分(約136cm×約70cm)。


表具 ヒョウグ
掛物・襖・屏風・和額・衝立・貼付壁などの調製・加工・施工を指し、これに障子張を含めた仕事をいう。また、表具という語は“表具する”というように動詞的に使うことがある。この場合、「(ある)表具形式のものにつくりあげる」という他に、「掛物に仕立てる」、あるいは単に「裏打をする」といった狭い意味で用いることもある。なお、厳密には、巻子本(巻物)・綴本・折本などの和本の仕立や、料紙・色紙・短冊などの支持体づくりは経師(キョウジ)の仕事として表具の範疇とはされない。


表具紙 ヒョウグガミ
表具地として用いる紙。→表具地


表具地 ヒョウグジ
表具で、装飾にかかわる部材のこと。これに対し、裏打紙や下貼紙など、仕上がり後に見えなくなってしまうものは「表具材(料)」という。


表装 ヒョウソウ
「表具」とほぼ同義であるが、東京表具経師文化協会は、「表装」とは「紙・布・糊を使用して、作り上げてゆくハリ作業の行為」とし、表具と壁装の併称であると、定義づけている。したがって、表具とは上記の定義より壁装を除いたものと捉えることができ、今日では表具のほうが語義的に狭いものと考えることができる。


表装紙 ヒョウソウシ
表具材(料)として用いる紙。下貼用紙や裏打紙など。


平留 ヒラドメ
見付の等しい部材を、45°で直交させること。あるいは、その出合い形状。単に「留」とも、また「出合(デアイ)」とも呼ぶ。なお、留とはこれ以上行かない、留(止)まるという意。


風帯 フウタイ
装飾が目的の、竪に長い帯を凧の足状に掛物上部へ2本絎け留めたもの。この凧足の両先端にはやはり「露(ツユ)」と呼ぶ装飾が目的のフサを縫い付ける。なお、様式の違いにより、風帯を付けるもの、付けないものがある。こうした通常の風帯を「垂風帯(サゲフウタイ)」と呼び、他に天地を筋で割って風帯を表現する「筋割風帯(スジワリフウタイ)、および筋風帯」、天地へ別の表具地を貼って風帯を表した「押風帯(オシフウタイ)」の2種の略式風帯がある。


フカミ フカミ
下地などの対象物を椽枠内に収める目的で椽枠のカカリの下を削りだした部位。カカリ下ともいう。→カカリ


椽 フチ
主として木材による、表具品の最も外側を取り巻く表具地。なお、縁という漢字には「へり」と「ふち」という読みがあり、混同をおそれ、ここでは「ふち」を意図するときには「椽」の字を当てている。この「椽」には本来、ふちという読み方・意味はないが、ただ江戸時代から明治にかけ専門家の間でしばしばこのように使用された例があり、これは糸偏と木偏の意を利用して意図的に使い分けたものである。


仏表具 ブツヒョウグ
→真の仕立


太巻芯 フトマキシシン
桐材でつくった太い棒状のもので、蝶番によって木端側で開閉できる仕組みになっているもの。これを本来の軸木に噛ませて巻き納めることが太巻芯の役割であり、つまり収納時だけ太く巻けるように工夫をした仕掛け。たとえば絵具の盛り上がった絵画本紙、あるいは古物で、細く巻くと折れによる損傷が危倶されるときに使用する。「太巻棒」ともいう。また、単に「太巻」とも「太巻添棒(太巻添軸)」とも呼ぶことがある。 


古美 フルビ
金物の伝統的加飾法の一。多くは銀素材をベースにして、黒く錆びた感じの時代色を表す技法。なお、フルビはフルミが訛ったものと考えられており、古いものには味があるとして古味と表記し、さらに古味を帯びたものを賞翫する日本人独特の気風から「古美」と字を当てたもの。


風呂先屏風 フロサキビョウブ
風炉先と略称することもある、茶座敷で用いる二曲の屏風。


文人仕立 ブンジンシタテ
掛物の二大様式の一。その名の通り、特に文人画に多く用いるところからの命名で、「文人表具」とも呼ばれる。また、文人画のみならず中国的な本紙の軸装にも用いることから、「唐仕立(カラシタテ)」ともいう。江戸時代、新たに中国から伝承された様式で、宋朝表具とは形を異にするもの。なお、今日の文人仕立では風帯を用いない。


別珍 ベッチン
綿ビロードのこと。表具で別珍を使用する例はあまりなく、主に洋額装でクラシックイメージを求めるときに用いることが多い。


墨跡 ボクセキ
現在では宗教者(特に仏教関係者)による宗教的内容の書跡を総称する言葉として用いられているが、本来は禅林関係者(特に禅宗の高僧)の書跡を指すもの。墨蹟とも書くが、「蹟」は現在「跡」に統一標記されている。


ポプリン ポプリン
目の詰んだ、やや緯畝のある平織物。生地は綿が多いが、毛、絹、化繊でもつくられている。 和額装ではあまり用いないが、洋額装で多用するのは、その価格性から化繊のものが多い。


本間 ホンケン
モジュールの一で、一般に6尺の長さをいうが、本来は地方によって異なる。というのも、本式の畳の大きさを本間(ホンマ)というが、本間(ホンケン)はこれより生まれた言葉で、畳の大きさが地方によって異なるからである。表具では2間あるいは1間といった間寸法に等しくなることも意味する。したがって、本間屏風は地方によって大きさが異なる。「ホンゲン」とも発音する。


本紙 ホンシ
一般に書画等が紙などの支持体の上へ2次元的に表現された作品(アートピース)をいう。なお、本紙は裏打紙の対語であり、逆に本紙とは裏打ちされるものと定義づけることができる。


本椽 ホンブチ
主に木材を竿状に削りだし、これらを組み上げた後、塗装などの加飾を施して作り上げる額縁。仮椽に対し、油彩額と同義で用いることもある。なお、モールディングに対し、「組椽」と呼ぶこともある。


枕屏風 マクラビョウブ
名称からわかるように枕許に立てる、二曲で横長の屏風をいう。そもそも防寒・防風の必要性から自然に生れた什器であり、定寸法はない。なお、枕屏風はもともと六曲一双でつくられた白貼屏風の呼称で、これは死者が出たときに用いる屏風である。また、臨終行儀に使用される屏風もこう呼ばれることがある。ところで、かつては二曲に限らず、丈の低いものをすべて枕屏風と呼んだ。これらも枕許で使用したものであったからであろう。


まくり マクリ
未表具の本紙のこと。襖や屏風などの上貼紙を剥がしたものを指すこともある。


マット マット
作品とフレームの間に位置させる、鑑賞と保存に資するための部位の名称。鑑賞面でいえば、この部位に配した紙や布などの色目・テクスチャによって鑑賞の助けとすることができる。保存面でいえば、作品と透明ダストカバーとを密着させないことによって、作品の劣化を減ずる、またフレームとの距離を置くことによって結露や落下事故などから作品を守ることができる、という役割を果たす。素材と役割によって2種類ある。①多くは布貼りを行う、厚い作品に適したマット。和額装でいう中縁の呼び名。これは中子・中板・中枠・ライナーなどと呼ぶこともある。②多くは板紙であり、作品のイメージサイズにあわせて窓抜きするもの。デッサンや水彩画など、薄物作品に適している。


丸表具 マルヒョウグ
文人仕立の代表的な様式。真の仕立の中廻し・風帯のない形で、本紙周り(一文字を付けるときは一文字を含めた本紙周り)に筋を入れるもの。袋表具ともいう。


見込 ミコミ
部材の奥行き(側面)の面、あるいは幅のこと。→見付


見付 ミツケ
枠や框など部材の正面に見える面、あるいは幅のこと。ミツキともいい、また古くは「見表」と呼んだ。→見込


三椏 ミツマタ
和紙の三大原料の一。三椏は沈丁花科の落葉低木で、苗を植えてから2年毎に収穫できる。この三椏から得る繊維は柔軟で細く光沢があり、防虫性・印刷適性に優れており、沈丁花科の香りの強い植物が多く香木として用いられるように、雁皮と同様、三椏には防虫効果がある。しかし、楮と比較するとその剛性は劣り、強度を求める際には楮繊維と混和して漉くことがある。


見廻し ミマワシ
天地・左右を同寸法にして取り囲むこと。


明朝 ミンチョウ
八双から軸木まで、掛物本体の竪の外縁部を細く飾るもの。明朝を施したものは明朝仕立と呼ばれる。→明朝仕立。


明朝仕立 ミンチョウシタテ
掛物において明朝を付けた仕立で、文人仕立特有の補助様式。異なる表具地を付ける一般的なものの他に、表具地を筋で割って明朝を表現する「筋割明朝」、柱幅で明朝を表現する「太明朝」がある。なお、名称の由来は、中国の明朝代(1368-1644)に流行したからとされる。


虫喰 ムシクイ
金物の伝統的な加飾法の一。金槌で叩いた痕を模様にする非定形で、古美表現を担うもの。


面金 メンキン
主に中縁(マット)と本紙との間へ取り付ける、金箔押しなどを施した小縁(小枠)。面金には、金(銀)箔押しだけでなく金(銀)粉仕上げや、その他さまざまな色に塗装するもの、あるいは裂などの表具地を貼るものがある。


モールディング
モールディング 既成の竿状の枠を注文に合わせて組み合わせる半オーダーメイドの額縁。制作方法は組縁とほぼ同じ。枠のデザインを選び、額のサイズや深さ、入れ子の有無などをオーダーすることができる。そのため油彩額やデッサン額、場合によっては人形などを入れられる深さを持った額なども制作することが可能。しかし枠のデザインによっては角の部分で模様が食い違ってしまうという欠点もある。


大和仕立 ヤマトシタテ
①《広義》掛物の二大様式の一。大和仕立には仏画と同時的に伝わったとされる「真」、鎌倉時代に伝わったとされる宋朝表具の形式を基につくられた「行」および「草」の3様式がある。さらに、これは真の中で真・行・草、同じく行で真・行・草、草で行・草の計8体の様式に分けられる。②《狭義》広義の大和仕立の中でも、特に〔行の行〕様式を指すことがある。


有職文様 ユウソクモンヨウ
有職文様とは、公家の服飾・調度・輿車などに用いられた一連の伝統的文様で、他の分野の文様と区別するために便宜上名付けられたもの。この有職文様は今日においてもなお愛用され日本文様の基調をなしているといわれることから、表具用裂として専ら織られているものにも多く有職文様が用いられる。


洋額装 ヨウガクソウ
洋額椽に西洋的主題・画法の作品を装着すること。あるいは、これに伴う作品の鑑賞と保存に資するテクニックを含めていうことがある。和額装の対語。


ライナー ライナー
洋額装での中縁、あるいは入れ子の呼び名であるが、語義からしてわかるように、特に細いものを特定するときに用いる。たとえばデッサンライナーは多く加飾を伴ったスペイサーの別称として用いる。また、オイルライナーはキャンバスのフカミを確保するために用いる中縁で、一般に見付幅の狭いものを指す。


落款 ラッカン
書画の完成後、作者が作品内に署名して押印したもの。落款とは、落成款識の意で落款落印ともいう。また、本紙に押される印章のうち、署名の下に押す印を特に落款印と呼ぶことがある。→落款印


落款印 ラッカンイン
通例、姓名を刻む白文と雅号を刻む朱文の二顆で構成され、印章の文字は篆書体が原則とされている。白文とは印を押したとき文字の部分が白くなる陰文をいい、逆に朱文とは印を押したときに文字の部分が朱でうつる陽文をいう。通常は姓名が雅号に優先することから白文を上、朱文を下に押すとされる。なお、一顆のみ押されることもあり、このときは主に朱文(陽文)が用いられる。→落款


欄間額 ランマガク
鴨居上などへ掛ける横に長い額を指し、欄間飾りの代わりに小壁(内法長押あるいは鴨居と、天井との間の壁)部分へ取り付けるところからこう呼ぶもの。扁額とも呼ぶ。


利久屏風 リキュウビョウブ
開いて5尺角寸法の屏風。関東ではこれを単に五尺二曲屏風と呼ぶ。なお、関東における利久屏風は、関西物とは異なり5尺(約151.5cm)丈に限らず4尺丈ぐらいまでのものを含め、総仕上幅寸法が仕上丈寸法に比べ約1割方狭いものをいい、関東では利休屏風とも書く。


綸子 リンズ
絹織物で、地を繻子組織とし文様部分を繻子組織の裏側の組織としたもの。緞子も組織はこれと変わらないが、綸子は後練・後染品という点で異なる。綸子は薄く、ほとんど柄が目立たないのだが、地には光沢があり滑らかさを感じさせる織物で、表具用裂としては京綸子と、やや下級品の支那綸子がある。用途は中国の表具で多用されてきたことから、ほとんどが篆書作品あるいは現代中国の書・絵画など中国物への軸装・額装用。むろん文人物にも好適であり、また明朝表具地としても用いる。ちなみに、綸子の製織は明代に盛行し、その技術が日本へは慶長期(1596-1615)に伝えられたという。以降、江戸時代を通じ武家の女性用の小袖や打掛に最高級品としてもてはやされた。


礼場 レイバ
礼場屏風のこと。礼受や年始帳の背障として玄関に立てたことからこの名称があるが、関東にはこの呼び名の屏風はない。なお、礼受とは年始回りで年賀にこられた人の名刺を受けるもの。このように玄関で衝立代りの目隠しとして、あるいは勝手屏風としても用いられる。仕上丈寸法は5尺(約151.5cm)であり利久屏風と同じだが、ただ幅はやや狭くし、仕上幅は椽を含み両扇を拡げて4尺5寸(約136cm)に仕立てることが通例。


聯落 レンオチ
画仙紙全判を縦に裁断し、1/3幅あるいは1/4幅にしたものを聯(レン)というが、この聯をとった残りの2/3幅あるいは3/4幅の大きさの画仙紙をいう。


蓮華唐草 レンゲカラクサ
蓮華をモチーフとした唐草文様。万代に亘る子孫繁栄、あるいは仏教においては法灯の恒久的な連続を示唆する。


蝋色(塗) ロイロ(ヌリ)
漆塗の中で最も工程の多い塗で、漆塗における最上級品。「呂色塗」とも書き、伝統建築や茶道具では黒?色塗を「真塗」とも呼んでいる。なお、?色とは仕上がった表面が?のような滑らかな肌合いをしていることからの名称。


和額 ワガク
一般に、紙貼あるいは縁取した下地へ裏打した本紙を張り付け、これに枠をつけた額。今日では、一般に欄間額と日本画額に2大別できる。なお、和額とは、明治以降に西洋式の額椽が流入し普及するにしたがい、当初は日本相伝のものと区別する必要から生まれた呼称。しかし、次第に洋額の様式を取り入れた額装形式も多くなり、現在では日本画・南画・書など伝統的な画法・筆法による日本的主題の本紙を額装したものが和額と総称されることがある。したがって、今日では和額とは様式に与えられた名称でなく、本紙内容によって区別するための語ともなっている。


和額装 ワガクソウ
従来の表装技術を伴う額装をいう。洋額装の対語。