解説文中の表具関連業界に特有の符丁や用語は、ご理解の一助となるよう別に説明しています。これも当該項目をクリックして、ご覧下さい。

作品 和紙タイル。
仕立 10F パネル額、新装。
ご依頼主 清華堂試作品
 50p×50pの和紙タイルを使って、パネル額にしてみました。タテにもヨコにも、また逆さにしても飾れます。
 最近、パネル額をお求めになる方が増えてきました。本作は壁装で用いる3種類の色違いの和紙タイルを切り使いしたものですが、テキスタイルでパネル額にしたものが街のあちこちのオシャレな店で見られます。
 なぜ、こうしたパネル額が流行しているのでしょうか。
 一つは作品が工業的に生産されたものである場合、他の芸術工芸作品による壁面装飾と比較して相対的に安価ということが挙げられます。そして、極端なことをいえば、飽きてしまった、あるいは模様替えのときに全体のイメージにそぐわなくなった、という場合には、惜しげもなく処分することができるという利点があります。つまり、壁紙に対する感覚に近いものがあります。ですから、特に店舗装飾で多用されるのは、改装などの折に取り替えやすいというメリットがあるからです。
 そして、芸術工芸作品と違い、インテリアデザイナーのイメージを直接的に訴求することができる、しかも作品の大きさに囚われず、自由に大きさを設定することができ、イメージサイズを直接に現出することができるという長所もあります。
 また、高級素材も端布などを有効利用できるエコ性もあり、いいかえれば安価に高級感を演出することができるということもあります。
 パネル額は一般に、軽いイメージがあります。つまり、フレームによる重みを感じさせないことから、カジュアルなインテリアイメージを求める際には好適です。
 そして、一般にパネル額は表具地あるいは作品を小口まで貼り込み、透明アクリル板など透明ダストカバーを付けないことが普通です。こうしたことから、自然な素材感を表すことができます。
 それが、貼り加工を伴う日本の伝統的な作品である場合は、パネル額自体に和風イメージを付与することができ、モダンな和室や和洋折衷間にも向きます。こうした流れから、特に現代書道作品などもパネルで額装を求められる方が増えています。
 ただ、オリジナル作品を伴うパネル額は保存性を高めるため、透明ダストカバーを付けることが普通です。
 以下の写真例は、いずれも書作品(小品)をパネル額装したものです。これらを、書家であるご自身の記念パーティの際に抽選でプレゼントされるそうです。

作品 紙本、書作品。
仕立 パネル額 和紙タイルマット、新装。
ご依頼主 S氏(大阪市天王寺区)
 透明ダストカバーに用いたアクリル板は雲形に加工し、作品は浮かし張りしています。台は四つ切(423o×348o)であり、和紙タイルは一枚物(500o×500o)を切り継ぎ、タテヨコに配しました。

作品 紙本、書作品。
仕立 パネル額、新装。
ご依頼主 S氏(大阪市天王寺区)
A3の大きさの唐紙マットで使用しました。

作品 絹本6F日本画作品。
仕立 アクリルボックス額、新装。
ご依頼主 K氏(大阪府富田林市)
 日本画をカルチャースクールで楽しんでおられる方からのご依頼です。作品は極めて日本的な表現がなされているにもかかわらず、モダンなリビングで鑑賞したいとのこと。
 ご依頼主にさまざまなご提案をしたところ、このような仕様に落ち着きました。写真には蛍光灯の光が映り込んでいるので多少わかり辛いのですが、本作は本紙パネル加工した後、布を貼っただけの別のパネルと合体させ、さらに透明のアクリルボックスで覆ったものです。
 マットにあたる台パネルの布には、作品に使用された色を拝借しました。こうすることによってモティーフの主眼である蜜柑に焦点が合います。しかも、あえて蜜柑の色を拾ったのは、蜜柑にこの作品の重心があるからです。
 アクリルボックスは透明であり、額装の目的の一つである壁面からの作品の切り取り機能が果たせません。ですから、マットに強い色目のものを用いてもよかったのですが、ご依頼主が優しい仕上がりを要求されましたので、この色目におさまりました。
 なお、作品はちょうど6Fサイズであり、既製品のアクリルボックスを使用したことから、縁は見廻しとなっており、またリーズナブルな価格で提供できました。

作品 書作品、半切1/4。
仕立 パネル額、改装。
ご依頼主 K氏(大阪府富田林市)
 書道の展覧会へご出品したいとのこと。お手持ちのパネル額を利用して額装しました。『襟』という作品に用いられた文字からの発想で、色紙を幾枚重ねて額装したいとのこと。
 デザインや紙の選定はお任せいただいたことから、写真のように料紙をグラデーション風に内側から赤・橙・黄の順で、しかもバランスを保つため、これを作品の右肩と左下の二ヶ所に配しました。

作品 書作品、半切1/2横物。
仕立 パネル額、新装。
ご依頼主 T氏(大阪市天王寺区)
 展覧会への出品目的で額装を承りました。パネル装で少し変わったものにして欲しいとのこと。
 作品は伝統的なものと異なり、右下に落款印が捺されています。また、『朧』の文字は薄墨で、『月』がやや濃い墨で表現されています。
 そこで、墨色に合わせた濃い目のグレー系無地正絹緞子マットに用い、鑑賞上、比重の大きい『月』文字を支えるため下方と、また同じ理由で『月』文字が中心にくるよう右方にマットを見せました。
 こうしたデザインによって右下から左上に向かって順に色が淡くなることとなり、作品はこの方向へ広がりを見せています。

 

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