この用語解説は、本文の説明のために付しました。
一部、加筆したところはありますが、内容はほとんど『表具−和の文化的遺伝子』からの抜粋です。
表具関連の符丁、用語はここに紹介したものの他に、まだまだ多くあります。
もう少し詳しくお知りになりたい方、また表具にご興味のある方は、
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  用語 読み 解説
サ行 垂風帯 サゲフウタイ 風帯
三六 サブロク わが国の寸法体系により生まれた規格寸法(モジュール)の呼称で、3尺×6尺(約91p×約182p)のこと。ほぼ畳一枚の寸法が基準となっていることから、日本人にとって極めて馴染みやすいモジュールとなっている。
直椽 ジカブチ マットやライナーを入れずに額装すること。あまり一般的な用語ではないが、業界ではしばしば用いる符丁。
色紙 シキシ 作品の支持体として規格化された板紙。表面には画仙紙の他、鳥の子紙や麻紙など多用な支持体が貼られる。なお、色紙とはそもそも染紙を意味したが、平安から鎌倉にかけて襖絵や屏風絵に用いられた色紙形が、室町になり次第に料紙として独立したものを指すようになり、イロガミと区別されるようになった。現在では色紙の大きさが、一般に9寸×8寸(約273o×約242o)である。なお、この規格は大色紙と称されることがある。これは今日あまり用いられることがない小色紙が存在するからである。
軸木 ジクギ 一般に木材を使用した、収納・装飾・鑑賞・補強という目的を兼ね、掛物下部に巻芯となるよう取り付ける部位の名称。軸木の両端には掛物を巻くときの手かけ、および装飾が目的の「軸端(ジクバナ)」を取り付ける。「軸棒」とも「中軸」とも、また単に「軸」ともいう。
軸装 ジクソウ 紙あるいは布帛などを支持体とした本紙を、掛物にまで加工すること。「掛幅装」と呼ぶこともある。ちなみに、巻物では「巻子装」と呼ぶことが普通。また、「幀」が画の掛物を意味するところから、古くは「装幀(ソウトウ)」とも呼んだが、現在、装幀という語は書物表紙の綴じ方、あるいは書物の仕上装飾の意で用いることが普通である。
軸端 ジクバナ 軸木の両端に付けるもので、「軸先(ジクサキ)」、「軸首(ジクシュ)」、「軸頭(ジクガシラ)」ともいう。また、単に「軸」と呼ぶこともある。軸端は掛物を巻いたり展げたりするときの手かけとなる部分で、その装飾に多様な工夫がなされている。
シケ 節のある絓糸を使用して織った平織の後染品。主に軸装用の天地裂として用いる。かつては真綿から繰り出す?糸で織った安価な平絹だったが、日本での養蚕の退潮に伴い絹糸の供給はほとんど輸入に頼っており、絹糸は供給元より製糸後に出荷されることから、今日ではあえて絓糸をつくってから絓が織られる。したがって、紬と同様、現在ではかえって高価な裂地となっている。なお、絓はこの平絹の称である?絹を略したものだが、絓とはそもそも蚕繭の外皮を指す。 →絹絓
地貼 ジバリ 本紙を貼る台紙のこと。地貼の用途と効果には
◇本紙を大きく見せる、
◇一扇に複数の本紙をはり交ぜる、
◇大きさがまちまちの本紙を統一する、
などが挙げられる。つまり、地貼の意義は地貼寸法を本紙寸法に、だまし絵的に拡大解釈させるところにある。
地袋 ジブクロ 「床地袋」とも呼ぶ、床の間の袋棚の前に建て込む襖で、上段の天袋(床天袋)に対し、下段のものをいう。なお、袋棚とは袋のように中へ物を入れて口を閉じるようにしてある棚の名称。
紙本 シホン 画仙紙・鳥の子紙・麻紙など紙支持体による本紙。→絹本
地文 ジモン 絵緯(エヌキ)を用いずに経糸(タテイト)と地緯(ジヌキ)だけで織り表した文様。これに対し、地糸以外のたとえば金襴などでは平金糸で表す文様を上文(ウワモン)という。
赤銅 シャクドウ 燻(クス)べによって漆黒に色付けする金物の伝統的な色仕上の一。高級なものは、乾燥させた北山杉の葉を燃やした煙で素地を燻べ、これを繰り返すことにより煙の中の脂などを付着させて黒色に着色する。他に、北山杉以外の杉や檜、松の鉋屑も用いる。仕上にはイボタ蠟や胡桃の油を用い、高級品には透漆(スキウルシ)を引く。なお、赤銅色という表現は、これに根差している。
繻珍 シュチン 繻子組織の地に、地とは別色の絵緯(エヌキ)を使って文様を表した織物。日本で織られるようになった江戸時代以降は、帯や羽織裏、また打掛として多用された。これは、いわゆるサテンのことで、サテンが訛り繻珍となり、さらにこれが訛って「七糸緞」とも呼ばれた。
春慶塗 シュンケイヌリ まず木胎(白木の塗下地)を染料によって染め、その上に春慶漆(透明漆)を施すもの
蜀江文 ショッコウモン 八角形と正方形からなる構図に、亀甲文・華文・七宝文・龍文などを巧みに充填した文様。なお、名物裂で蜀江錦(ショッコウキン)と称されているものは明時代に織られた緯錦を指し、蜀江文とは本来がこの錦に織り表された文様からの名称。
真の行 シンノギョウ 大和仕立における真の仕立の一つで、お名号・お題目、あるいは集印など、真の仕立の中で最も多く用いる様式。一文字は廻さず、風帯は中風帯。
真の仕立 シンノシタテ 軸装における三大大和仕立の一。仏画(仏像・高僧像・祖師像・曼荼羅など)・お名号・お題目など仏教に関わる書画の軸装で用いる様式。古くは裱補(ヒョウホエ)ともいい、今日では一般に仏仕立、あるいは仏表具ともいう。
スジ 表具地と表具地、あるいは表具地と本紙(場合によっては本紙と本紙)の間を、細みの部材で見切るもの。「細見」とも「沈め」ともいい、特に金箔紙や金砂子紙を筋に用いるときには、「細金(ホソカネ)」または「筋金(スジカネ)」と呼称する。
捨貼 ステバリ 主に下地改良のために行うベタ貼のこと。捨てベタとも呼ぶ。→ベタ貼
砂子 スナゴ 砂子細工を略したもの。これは金箔や銀箔を箔筒という篩(フルイ)に入れ、撒き散らしながら模様をつくりあげる日本独自の加飾技法である。
スペイサー スペイサー spacer。透明ダストカバーと中縁(あるいは作品)が接しないようにするのが目的の、小さい椽(あるいは枠)。鑑賞の妨げにならないよう通常はカカリよりはみ出さずにつくるもので、多くは椽と共(同じ色・材質)にする。「ガラス押え」ともいう。→入れ子
角金具 スミカナグ 屏風の竪椽と横椽が見合う角に取り付ける金具で、屏風椽の留部分を保護する目的を持ち、装飾を兼ねるもの。必ずしも取り付けなくてよい屏風もあるが、屏風の保護と装飾には本来的に欠かせないものである。多様に加飾した金物でつくられ、錺金具(カザリカナグ)として古くから意匠が凝らされてきた。なお、「八双金具」とも呼ぶこともある。
隅丸 スミマル 木材表具地の留(トメ)部分における形状の名称の一。平留による留加工をしたもののうち、外隅は直角だが、内隅にアールをとったもの。なお、日本以外ではあまり見られない留部分の加飾であり、和風表現に適している。
頭切 ズンギリ 最も一般的な円柱形をした軸端。直軸(スグジク)や切軸(キリジク)ともいう。
寸松庵 スンショウアン 大色紙1/4の大きさの小色紙で、大きさは4寸5分×4寸。ラインを増やすため、書道用品業界が近年になって商品化したもの。寸松庵色紙ともいうが、この名称はそもそも、京都大徳寺の塔頭、寸松庵が旧蔵していた古筆色紙(4寸6分×4寸2分)に由来するといわれる。
セキ 屏風で、半双を特定するときの呼び名。たとえば半双を「一隻」ともいうことがある。また、一双屏風のうち片側を特定するとき「片隻」とも、あるいは今日では向かって右に立てる屏風を「右隻」、左を「左隻」と呼ぶことがある。なお、隻は双の旧字体「雙」を分解したもの。
ソウ 表具では屏風で用いる助数詞で、そもそもはワンセットという意。屏風は一般に、2本でワンセットであり、このとき「一双」というように用いる。なお、1本の場合は「半双」と数える。→
創作表具 ソウサクヒョウグ 掛物の様式は大きく大和仕立と文人仕立に分けられるが、この2種の様式群に囚われない自由な様式のものをいう。
草の仕立 ソウノシタテ 軸装における三大大和仕立の一。形体は、行の柱幅を狭くしたものであり、このとき中廻しの柱幅は現在では5分が一般的。 『和漢装潢志』に「茶の湯の掛物はこれに極まる。墨跡は猶もちうべき也」とあるように、茶掛の表具の中では最も多く用いる様式である。したがって、茶掛仕立とも茶掛表具ともいう。なお、輪補(リンポ)仕立とも呼ぶことがある。
総縁 ソウベリ 一般に中廻しを取り囲む部位の名称。また、「総地廻し(ソウジマワシ)」ともいうが、中廻しに限らず本紙を取り巻く外縁部を「総地廻」と総称することがある。なお、総縁もしくは総地廻しがあるとき、一般にこれと接する他の表具地(あるいは本紙)との間には筋を入れて見切る。

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