この用語解説は、本文の説明のために付しました。
一部、加筆したところはありますが、内容はほとんど『表具−和の文化的遺伝子』からの抜粋です。
表具関連の符丁、用語はここに紹介したものの他に、まだまだ多くあります。
もう少し詳しくお知りになりたい方、また表具にご興味のある方は、
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ア行カ行サ行タ行ナ行ハ行マ行ヤ行ラ行ワ行

  用語 読み 解説
カ行 カカリ カカリ 下地などの対象物を受ける目的で、椽枠端先の下を决って窪みをつけた部位。シャクリ(决り)、あるいはこれが訛ってサクリともいう。他に「枕」とも呼ぶことがある。→フカミ
額装 ガクソウ 額装という言葉は戦後に生まれ、1960年代以降に定着した用語。額装とはもちろん額の計画あるいは製作技術を意味するが、額椽装着の略ともいわれている。なお、額装という語は洋額装、和額装というように区別して用いることが普通である。
掛緒 カケオ 掛物を吊り下げるとき床釘へ掛ける紐。展開時には掛物全体を支える。この掛緒には、収納時に掛物を巻き留めるための「巻緒(マキオ)」と呼ぶ紐を取り付ける。
錺金具 カザリカナグ 本来は、建築・家具・什器などの保護補強に用いる金物のこと。しかし、次第に主目的が装飾に移ったことから、カザリ金具と呼ぶようになった。
加飾紙 カショクシ 加飾とは装飾加工を意味する近年の造語であり、加飾紙とは紙にさまざまな技法を駆使して装飾加工した紙をいう。これに対し、加飾していない生成りの紙を「素紙(ソシ)」という。なお、素紙のほとんどが加飾紙のベースになる。
画仙紙 ガセンシ 紙本として、書画ともに最も多く用いられる支持体。画仙紙の大きさは漉き元によって若干の相違はあるが、4尺5寸(約136cm)×2尺3寸(約70cm)が一般的。
勝手屏風 カッテビョウブ 勝手許に立てる屏風。勝手許とは台所に関係のあることをいい、すなわち勝手屏風とは今日、座敷での下座、あるいは客人のあるとき台所へ向かう通路を隔てたいときなどに用いるもの。
角組 カドグミ 木材表具地の留(トメ)部分における形状の名称の一。平留による留加工をしたもののうち、内隅、外隅ともに直角を現すもの。
角丸 カドマル 木材表具地の留(トメ)部分における形状の名称の一。平留による留加工をしたもののうち、内隅は直角だが、外隅にアールをとったもの。なお、日本以外ではあまり見られない留部分の加飾であり、和風表現に適している。
金軸 カナジク 主に仏仕立で用いる金属製の軸端(ジクハナ)。彫りや、まれに象嵌などを施してさまざまに加飾される。
紙番 カミツガイ 連接部分の隙間を無くすために開発された紙製の番、あるいはその工法。小さく切った紙を連接させる対象物に、それぞれ互い違いに張って組み、番の役目を果たさせるもの。中国にはなく日本のオリジナルという説が有力。
唐紙 カラカミ 唐紙とはそもそも中国から輸入されたあらゆる紙を総称する語だが、次第にその中の優美な模様入りの紙だけを唐紙と呼ぶようになる。今日、唐紙は襖の上貼紙の中でも、主に雲母を用い、これを木版画技法でプリントした紙を指す。なお、このことから「雲母刷り(キラズリ)」と呼ぶこともある。→雲母
唐木 カラキ 紫檀・黒檀・花梨・鉄刀木(タガヤサン)などの伝統的な輸入材のこと。今日、表具地として用いる唐木材は黒檀と紫檀がほとんどである。なお、唐木という名称は、奈良時代に遣唐使が唐の文化とともに当時の珍しい木材と木製調度品を日本へ持ち帰り、これらを総称して唐木と呼んだことがその始まり。また、唐木は当初、3種であったことから唐三木とも呼ばれた。このうち黒い木が黒檀、朱紫色の木が紫檀と名付けられ、最後の一つが白檀である。これは白色ではないが、前二者に比較すれば白いことから、あえてこう呼ぶようになった。しかし、白檀は表具地としては伝統的にあまり用いない。
仮椽 カリブチ 枠のみの額を指し、主に展覧会などで使用されるもの。ダストカバーを使用しないことから、作品の保護には向いていない。「仮枠」、「仮額」ともいう。
雁皮 ガンピ 和紙の三大原料の一。雁皮は沈丁花科の落葉低木で、古代より日本独特の製紙原料として利用されている植物。雁皮繊維は細くて短いのだが、精選した繊維が平滑で半透明であることから成紙は優美な光沢を持ち、防虫性・防湿性に優れ、しかも粘着性に富むという特長を持つ。ただ、雁皮は成育が遅い上に栽培が難しく、したがって野生のものを採取して利用せざるをえないことから、製紙原料としての供給量は多くない。
機械表装 キカイヒョウソウ 熱圧着紙を用い、専用熱圧着機で裏打をする仕方。
絹? キヌシケ 絓の中でも目の粗いものを上貼用に裏打したもの。現在では主に裏打をして襖の押入や屏風などの裏貼に用いる。絓引紙(シケビキガミ)ともいう。
経師 キョウジ 主に関東地方における表具師の別称。経師とは奈良時代まで、写経をする者の称であったのだが、以降は次第に掛物の表具や巻子本(巻物)・綴本の装幀のほか料紙づくり、さらには衝立・屏風・襖の仕立に至るまで、およそ紙と裂と糊を用いてつくるものすべてが経師の仕事とされるようになったことが、今日での表具職に携わる者を経師とも呼んでいる経緯である。
行の仕立 ギョウノシタテ 軸装における三大大和仕立の一。表紙は一文字・中廻し・天地・風帯で構成される。行の仕立は、特に大和仕立(狭義)・大和表具と別称があるように、純日本式の様式として最も広く用いるもの。古くは幢補(ドウホ)仕立とも呼んだ。
行の真 ギョウノシン 大和仕立における行の仕立の一つ。天地があり、一文字・中廻しが本紙を取り囲む様式で、風帯は一文字風帯。用途は、神官仕立と別称があるように、今日ではほとんどが神道関係のもの。
行の草 ギョウノソウ 大和仕立における行の仕立の一つ。[行の行]の形より一文字または風帯、あるいは両方を取り払った形のものだが、多くは風帯を残す。このとき垂風帯を付ける場合は中風帯にする。これは、たとえば美人画などの風俗画や淋派系の装飾絵画のように、町家方絵画の格が下がるとされるものなどに用いる。
キョク 屏風1本(半双)における構成枚数。たとえば、屏風を構成する1面を「扇(セン)」と呼ぶが、2扇屏風であるなら二曲(あるいは両曲)、6扇であるなら六曲という。なお、曲の呼称は中国に始まり、日本では曲の代わりに枚折(マイオリ)という語も使う。『?具の栞』によると「(曲の字は)六枚折では文語にならぬところから中国を真似たのであるが、今日では一般の用語となった」とある。
キレ 表具地として使用する織物のこと。一般に織物のことをキレともいうが、キレとはそもそも物の切れ端の義であり、織物も長尺物から必要に応じ切り取って利用することから、その切り分けたパーツをキレと呼ぶようになったことが、この呼称の始まり。このキレには、その意を汲んで「切」という字を当てることが通常だが、古い巻物などの断簡へは、一般に古筆切や歌切など「切」の字を当てる。したがって、これとの混同を危惧し、キレが織物の場合は「裂」という字を当てることが普通である。なお、裂地は厳密にいえば織物地という意だが、今日では裂と同じ意味で使用することが業界では一般的である。
金屏風 キンビョウブ 日本独自の、祝儀事の際に背障として用いる金箔を貼った屏風。
金襴 キンラン 綾織あるいは繻子織の地組織に、平金糸で文様を織り表した裂地。金糸に本金箔を使用したものは本金欄、合金箔のものは合金襴などと区別する。ちなみに、金襴緞子は「金襴や緞子」を意味し、ともに高級織物であるところから、金襴緞子という併称は高価な織物の意にも用いられる。
硯屏 ケンビョウ 主に額装に用いる、小衝立のこと。もともとが硯の屏風(中国では衝立の意)ということで、卓上で用いる硯用の風除けを目的とする小衝立を意味したが、近年になり硯屏形式で小作品を額装仕立することが流行したことによって定番となったもの。硯屏は自立することから現在では飾り棚や玄関の靴箱の上などにも装飾品として用い、色紙を入れ替え可能にしたものも多く製されてきた。なお、硯屏は形状において額とは呼びがたいが、額装仕立したものは装飾以外の実用的な機能を持たないことから和額の一種とされる。
絹本 ケンポン 絹を支持体とする本紙のこと。キヌホンともいう。揮毫用の絹には平織にしたものと繻子織にしたものがある。これらを総称して絵絹(エギヌ)というが、使用状況から現在では絵絹イコール平織絹と考えて間違いはない。なお、ヨーロッパでは支持体としての絹の用例はほとんどないが、逆に極東ではごくありふれたもので、その歴史も中国の唐代にまで遡るといわれる。日本では平安時代以降に普及する。→紙本
コウゾ 和紙の三大原料の一で、今日、和紙の抄造に最も多用されるもの。というのも、桑科の楮は、栽培が容易で毎年収穫できるからである。さらに、この楮から得る繊維は太くて長く、また繊維の絡み合う性質が強い特長があり、その成紙は粘りがあり揉んでも破れにくく、耐久性がある強靭な紙をつくるのに適しているからである。
絖本 コウホン 絹本の一。絵絹(揮毫用の絹)のうち、繻子織にしたものを絖(ヌメ)といい、これを支持体としたものを絹本の中でも特に絖本と呼ぶ。→絹本

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